米Appleの小会社iTunes株式会社(アプリ販売のAppStoreや音楽や動画、電子書籍を販売するiTunesを運営)が官報に掲載した決算公告でその実態が明らかになりました。ちなみにiPhoneやiPadを販売するAppleについては日本では合同会社という形式をとっており、決算は開示されていません。先日Amazonが合同会社に組織変更したことが記憶に新しいですね。この日本のiTunes株式会社は米Appleの直轄組織という位置づけになっています。
運営するコンテンツはミュージック、映画、AppStore(アプリ)、ブック(電子書籍)、Podcast、iTunes U、着信音となっており、米国などで提供しているテレビコンテンツは日本では今のところ非対応。
いったい日本ではどの程度の売上規模になっているのか見てみましょう。
? あわせて読みたい
世界中で勢いのあるAppStore
Appleの米国本社は今年1月に2015年のクリスマス週から2016年1月3日にかけて2週間のAppStoreの売上が過去最高の11億ドル($1=111円換算で約1,221億円)を超えたと発表しており、1月1日単日での売上は1億4,400万ドル($1=111円換算で約159億円)と1日あたりの売上も過去最高であると公表しています。
? Apple社のリリース(英文)
この数値は世界全体のAppStoreの売上ですが、日本はiPhoneユーザの比率が多いことやゲーム市場が活発なこともあり、GDP比を考慮して2割程度は占めていると見ています。
日本のiTunes株式会社の決算公告
正確に把握するためにも先日4月22日に開示されたiTunesの決算を見てみましょう。
売上1,522億円、営業利益は189億円にも及びます。
衝撃的なのはその成長率で、次のグラフを見てほしい。
iTunes株式会社の売上と成長率の推移
年度 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 |
売上 | 329 | 656 | 1,010 | 1,522 |
成長率 | – | 199% | 154% | 151% |
かなりの勢いで伸び続けています。売上に計上されているのは、アプリや音楽、動画などの決済手数料とされる30%が計上されていると思われるので、実際のApple決済の全体市場規模はこの3倍以上となります。もちろんAppleの決済ではなく、クレジットカード決済などを導入しているサービスも多く、それらをあわせるとさらに大きくなります。
あまりナショナリズムな話はしたく無いのですが、これまでドコモなどの携帯電話キャリア(日本の携帯電話キャリアの決済手数料は10%台前半が相場)や音楽レーベル、出版社、ゲーム開発会社などで分けあっていた多くの利益がAppleに吸収されていることを意味します。当然、Appleのハードやソフトの貢献もあり、市場規模は成長しているので、単純なゼロサム・ゲームでは無いものの、こういったエコシステムを日本企業がつくれなかったというのは少し残念な気がします。
今後、Apple Musicなども成長するでしょうし、コンテンツのデジタル化がますます進むことは間違いなく、まだまだiTunesの売上は向上していくでしょう。