定額音楽配信ブームの中でもビクともしないUSENの業績と強みを分析してみた

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アメリカでは定額音楽配信がCDや音楽配信の単品購入の市場規模を追い抜いたといいますが、日本でもLINE MUSICやApple music、AWA、Amazon music等様々な定額音楽配信サービスが開始されています。

そんな中、定額音楽配信の老舗である有線音楽放送を手掛けるUSENが3月31日に決算発表を行っているので、業績を見てみました。USENといえばインターネット業界の兄貴分的な宇野康秀氏を思い浮かべますが、現在は会長で、社長としては田村公正氏が着いております。従業員も連結で3,000名を超えており、かなりの巨大企業グループですね。

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USENの業績

第2四半期(累計)連結業績

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上記は第2四半期の累計の数値です。昨年度実績でいうと年間売上は701億円。どういった事業の売上構成比率が高いのか見てみましょう。

セグメント別売上高

セグメント別売上.PNG

第2四半期累計で359億円の内、約56%を占める201億円は音楽配信事業の売上となっています。定額音楽配信の普及で売上が減少するどころか前年比で僅かながら伸びています。業務用システム事業23%、ICT事業14%と続きます。

重要なのは音楽配信事業の個人向けと業務店向けの内訳。ほとんどが業務店向けの売上であることがわかります。

とはいえ、定額音楽配信サービスが広まる中、業務店でも個人向けの配信料金で契約した上で、スピーカーをつけて店舗で音楽を流しているところが増えてくることが懸念されます。

USENの調べによるとBGMを利用している店舗は全国で305万件でUSEN等放送利用店は74万件、違法・不適切利用店は46万件、それ以外のBGM店10万件、テレビやラジオを流す店舗が175万件と発表しています。

そういった違法利用店の問題に対して、昨年6月9日にJASRACはBGMを利用しているのに音楽著作権の手続きが済んでいない全国の171事業者/258施設に対し、民事調停を全国の簡易裁判所に申し立てたと発表しており、取り締まりの強化が進んでいます。

USENが進めるレコチョクとの新サービス

昨年6月にUSENとレコチョクがiPad定額音楽配信「OTORAKU-音楽-」を開始することで提携を発表しています。それまでのUSENのサービスを利用するにはSTBと呼ばれるチューナーの設置が必要でしたが、ネット環境とタブレットがあれば、店舗で合法的に音楽を配信することができるサービスです。利用金額は月額3,780円で長期割引を利用すれば最大で2,980円で利用できる。

これまでの有線音楽放送で構築した既存事業の営業拠点は151箇所もあり、総営業員の約1,000名に技術員が約700名もいる。この営業体制はLINEやAppleには中々対抗できないだろうから、ここに今後も法人向け定額音楽配信サービスにおけるUSENの強みがあるだろう。

スマホでUSENでも新たなチャンネルを続々リリース

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USENがBtoC向けに提供する定額音楽配信サービス「スマホでUSEN」には通常の音楽配信にとどまらず、ラジオ的なチャンネルも続々と増えています。これも圧倒的な有線放送の顧客基盤があるからこそ、コンテンツ開発にお金を投下できること。定額音楽配信のBtoCにおいてもしばらくはコンテンツ開発に資金を投下できるUSENの強みはありそう。

とはいえ、LINEやAPPLEなどとはBtoCにおいては集客力で圧倒的に不利。やはりBtoBでこそ中長期的な成長が見込まれる。

法人向け音楽配信事業の強みを活かした新サービスも強化

付帯サービス.PNG

営業人員や店舗向け技術サポートの圧倒的なパワーを活かして、新サービスを続々と投入しています。

USEN ReservationにUSEN CART。営業力の強みもあり、なんとなくアプローチの仕方はリクルートに似ているところがあります。

これらのサービスがうまくハマれば、USENの売上の成長角度もまた高くなっていきそうだ。

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