エイベックスがソフトバンクとの合弁を解消したので動画事業の業績とその裏を読み解いてみた

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エイベックスの小会社エイベックス・デジタルがソフトバンクと合弁で設立し、今まではソフトバンクのスマホ契約と同時に入会を促進していたUULAの全株式(全体の40%)を取得。完全小会社にすると発表しました。

この提携解消に伴い、ソフトバンクはUULAに20億円支払うことになっています。

この裏には何が起こっていたのか。サクラバは昨年7月にUULAがそろそろ利益化しそうという記事を書いていました。

UULAUULA(ウーラ)がそろそろ利益化しそう。ただしここまで56億円の赤字
携帯電話でソフトバンクを利用している方は店頭で見かけたことがあるだろう定額で利用し放題な動画・音楽配信サービスUULA(ウーラ)。...

この記事を書いたのは7月。実は1ヶ月後に状況が一変する事態が起こります。

それは黒船の来襲です。

その前に簡単にUULAをおさらいしておきましょう。

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UULAとは

UULAは元々エイベックスがドコモが運営するBeeTVやdビデオが店頭アフィリエイト集客のお陰で絶好調だったため、規模拡大のために他のキャリアとも組めないかなと考えてソフトバンクと組んだのがキッカケ。

2013年2月に開始した。ちなみに「UULA」の意味はエイベックス社長の松浦勝人の「浦」に由来するらしい。誰か止めろよ。

エイベックスが60%、ソフトバンクが40%を持っています。

映画も音楽も100,000以上のコンテンツが月額467円(税抜)で全て見放題の総合エンタメアプリです。

黒船の来襲で状況は一変

昨年8月。映像業界において大きな提携が発表されます。

それはソフトバンクとNetFlixの業務提携です。

過去ソフトバンク、というよりも孫正義はYahoo!は成功したから良いとして、MySpaceやPaypal、アカマイをはじめとして数多くの米国で成功した企業が日本に参入する際に業務提携や合弁会社を設立する手法をとっています。成功した企業もあれば、うまくいってない企業も当然あります。

アメリカ好きとは言いませんが、そのほうが成功する確率が高いと判断したんでしょう。提携発表の翌月である9月にはNetFlixが日本でもサービスを開始します。

これを機にソフトバンクはUULAの生命線であった店頭アフィリエイトを止めてしまいます。NetFlixに力を入れていこうとしたんですね。

その後、UULAがどうなっているかというと、昨年サクラバが取り上げた際は会員数が157万人もいたものの・・

UULA会員数

なんと104万人と大幅に落ち込んでいます。

店頭アフィリエイトの集客力を閉ざされたUULAはこのままではうまくいかないでしょう。そこで問題があります。

UULAには多額の累積の損失があるのです。

15年3月期の決算では利益剰余金がマイナス56億円と膨らんでいました。ただこの3年で月額会員を急激に伸ばせたことで、単年度の当期純損失は減り、16年度には黒字化という所まで来ており、黒字化後は累積赤字額を回収するには5年ほどかかるかなという状況でした。

ところがソフトバンクのNetFlixとの提携によって、店頭アフィリエイトが無くなったことで会員が大幅に減り、純損失はおそらく拡大見込み。累積赤字の回収は難しくなりました。

この56億円の累積赤字のソフトバンク側の責任として、提携解消の際にエイベックスに20億円が払われるのでしょう。

今後UULAは継続予定となっていますが、その内BeeTVと統合するのではないかと想像しています。

では最後にエイベックスの中での映像事業の状況を見てみましょう。

エイベックスの映像事業の業績

先月発表されたエイベックスの2016年第3四半期決算からです。1年間ではなく、第3四半期累計の売上です。

セグメント別 売上高構成比

エイベックスのセグメント別売上構成比

映像事業は15年の24%から26%と売上構成比は向上しています。

UULAの売上は減少しているものの、ドコモと組んでいるdTVは店頭アフィリエイトで会員獲得は順調だからですね。

映像事業の概況

映像事業第3四半期累計

映像事業指標

BeeTVやUULAは減少しているものの、ドコモが店頭で会員獲得してくれるdTVは絶好調。

減少するBeeTVとUULAのテコ入れをどう考えるか。dTVはさすがに統合できないものの、UULAとBeeTVは統合したほうが良いだろうな。でもそれだけでは流れは変わらない。

エイベックス絡みだとAWAとの統合とか・・・色々と選択肢はある。

ただ何かしら決断しないと定額動画市場の競争は激化しているので状況は変わらないだろう。エイベックスの今後の動きに注目です。

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