元LINEの社長だった森川亮が設立した動画サービスとして話題となっているC Channel。そのサービス内容や狙い、先日発表された決算について感想をまとめた。
目次
C Channelとは?
サイトの内容や特徴
クリッパーと呼ばれるモデルやタレントがオシャレなカフェや服のコーディネート、メイク、フード、トラベルなどの動画を撮影し、1日20本程度配信するサイト。ターゲットは主にF1層。これまでの動画は横長が基本だったが、スマートフォンの画面サイズに合わせて縦長な動画を配信する。電子書籍でいうところのComicoのような発想だ。動画は電車の中でもユーザが見ることができるように字幕もついている。
特徴的なのはコンテンツの制作手法。日本テレビに勤務していた経験のある社長の森川亮は映像業界の課題としてスピードと高コスト体質があると考えていた。これまでの映像業界はスピードが遅い、職人が多くて高給取り。それが結果的に動画の制作コストを高めていた。
そこでスマートフォンのカメラを制作ツールの1つと考えた。
モデル達は街でスマホのカメラで動画を撮る。そのまま出してしまうと動画の質が低いため編集部に送信し、1分ほどのコンテンツに再編集して配信するという。この編集作業はモデル自身の時もあれば、社員である編集スタッフの場合もあるようだ。これまでの映像業界のようにディレクターが入って撮影するケースもあるが、この手法は低コストで映像を大量に生産するための武器となるだろう。
この動画は原宿に日本テレビ時代の仲間と建てたスタジオで編集する。ニューヨークにもMTVの立ち上げメンバーだった人とスタジオを置く予定だ。ここでスタッフは朝出社して仕事して、撮るものを決めたら外出して、帰ってきてそのまま編集するのが森川氏の理想だ。
ファストファッションのSPAモデル(ユニクロのように企画から製造、小売までを一貫して行うモデル)のように、タレントも編集するという集団を作り、質・スピード・コストの課題を解決させる考えだ。
現在はウェブのみの提供だが、スマホアプリ展開と英語版の提供も年内から開始するという。
どこで収益を上げているのか?
ビジネスモデルは動画広告とEC。今後C Channelブランドの服を作って販売していく予定もあるが、広告で収益が上がればECはやらない可能性もあるという。動画広告といえば、ユーチュバーなる言葉も生まれたYoutubeの動画広告が有名だが、問題は単価の低さ。C Channelはブランドを上げたマス層向けメディアに成長させて、単価を高くしようという狙いがあるという。
また動画広告の延長線でデジタルサイネージを想定している。これまでの動画は全て横長なのでデジタルサイネージで配信するためにはコストをかけて再編集するか、撮り直しが必要だった。縦長のC Channelの動画はデジタルサイネージで直接配信することができるという。
C Channelが狙うのは新しい時代のメディアの姿
C Channelの社名の由来は映像の歴史から来ている。元々テレビも出ていない時代、人々は映画館に足を運び「映像を見に行く時代」があった。
その後、テレビが登場し「映像を受け止める時代」となった。今はなんといってもスマートフォンがライフスタイルを劇的に変化させており、C Channelは「映像でコミュニケーション(Communication)する時代」を創りたいという。
確かに今の時代、スマートフォンとSNSなどの登場がメディアのあり方を変えてきている。
インターネットも無かった時代、人々が情報を得るのはテレビや雑誌、新聞などが中心だった。そのため通信社のような一次情報を解釈も無く、そのまま流すだけというビジネスモデルでも大きなビジネスになった。
ただメディアのあり方の変化に多くの人は気づいていないが例えば大阪の橋下市長のようにメディアを介さず直接Twitterなどで発信することが徐々に広まりつつある。
これがもっと普及するとこれまでメディアが発信してきた一次情報はあまり重要ではなくなる。
発言の重要度の重み付けなどもインターネットが自動でする時代になるので、これまでのメディアに求められるのはこれらの情報を解釈して編集して発信し、2次情報として出すことが求められるようになるだろう。
そんな流れの中でこのC Channelはモデルの一人ひとりがメディアとなり、直接視聴者に発信していくのだろう。
C Channel株式会社の第1期の決算公告
第1期決算公告(2015年7月8日の官報に掲載)
第1期決算公告(2015年3月期)
資本金2150万円 資本剰余金2000万円 利益剰余金-711万円 当期純損失711万円
引用:官報
4月には約5億円の増資ということで引受先は楽天、グリー、GMO VenturePartners、アイスタイル、アソビシステムHD、ネクシィーズ、B Dash Ventures、MAKコーポレーションで割合等は非開示。投資が必要なので今後も第3者割当はするだろうが、LINEでの辛い経験があるのでおそらく過半数は森川氏が保有するだろう。
投資額はまだスタート前の投資額なのでおそらくスタジオやサイト自体の開発費がメインだろう。
サービス開始後の状況
サービス1ヶ月語の数値は100万PV、視聴時間が4300万時間だったという。ユニークユーザ数は森川氏が先日行われた戦略発表会でMAUは数十万人と発言したらしいが数十万人いて100万PVだったらリピート率があまりに低い。実際、サイト上で確認できる「好き!」ボタンもほとんど押されていないし、フォロワーも少ない。
実際にC Channelを見て頂きたいのだが、SNSも含めてかなり閑古鳥が鳴いている状態だ。。
Twitterはフォロワーが641でつぶやいてもリツイートはほとんど無い。
またYoutubeの視聴者を引っ張ってくる戦略だろうが、投稿はすれど視聴者は数十名。。
LINE元社長の森川氏の再挑戦を応援したいが、出足は決して順調とはいえない。