アマゾンジャパンが本日3月9日に官報で昨年の決算公告を公表していました。そこで多くの人が把握しているけれども、アマゾンを利用するのは便利だからスルーしている出来事を改めて認識しました。
インターネット、特にNewsPicksなどの経済メディアでは何故か人気の無い楽天ですが、日本代表として応援したくなる人もいるはず。
アマゾンジャパンの業績
売上は316億円の営業利益は13億円か。利益率はそこまで高くなく、あまり儲かっていないな。
利益を出さずに、それを顧客に還元するのがアマゾンのポリシーだからな。日本でもそうか。
???
いやまてよ。なんでたったの316億円しか売上がない?
楽天でも7,000億円を超えているし、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイも500億円を超えている。
別会社にでもついているのだろうか
アマゾンジャパン・ロジスティクスの業績
最近、Amazon Prime NOWとか短時間配送サービスなども強化しており、かなり倉庫費用に投資をしているアマゾン。アマゾンジャパンの販売業務に対して、ロジスティクス社に物流業務を任せている。
売上はアマゾンジャパンを上回る582億円だ。当期純利益もアマゾンジャパンの8億円に対して、13億円と利益はこちらのほうが出ている模様。とはいえ、ロジスティクスのほうは利益剰余金が12億円だから、これまでの投資を今年ようやく回収したタイミングのようです。
本当のアマゾンの日本での売上
少し回りくどい記載の仕方をしましたが、2016年1月29日に米国のアマゾン・ドット・コム本社が発表した数値によると日本の2015年の売上は82億ドルだったようです。前年比4.4%増でそれほど伸びていないと思いきや円安の影響があります。
82億ドルは2015年の年間平均為替レートの120円でみると約1兆円の9999億円。楽天の7,135億円を上回る業績です。
成長率も2014年の8300億円からなんとこの規模にして120%も成長しています。
Amazonはサーバなど別事業の売り上げが含まれるものの、それを言えば楽天も野球球団や金融事業など幅広い事業分野があります。Amazonは約1兆円の売上があると米国で公表しながらも、日本では販売・物流をあわせて公表している売上は898億円と10分の1以下。
日本で払っている法人税、住民税、事業税は10億円程度だ。
日本では利益をあまり上げていないから制度上仕方がないが、売上はアマゾンジャパンに満たない楽天の法人所得税費用は477億円とアマゾンを大きく上回る。
日本の利益がしっかりと日本ユーザに還元されているから、利益が出ていないのであれば、それは良いのかもしれない。しかし、その詳細は不明だ。
2009年には追徴課税が実施されたことも
東京国税局は約140億円の追徴課税処分をアマゾンに行ったことがある。2010年に日米双方の税務で協議し、決着はついたようですが最終的な金額はわかりません。
法人税どころか、消費税すらかからなかった消費税法は昨年2015年10月から改正されましたが、これらの法人税の制度はいつ変わるのでしょうか。
ちなみに日本と米国と比べて、税率が米国のほうが必ずしも安いわけではない(なんなら平均して少し高い)ので、アマゾンが税率が安いからそうしているとは限りません。あくまでも日本での利益額が低いため、アマゾンジャパンの納税額は少ないのです。
ただアメリカと日本のアマゾンでどういう契約になっているかわかりませんが、日本でECの実態のあるアマゾンの売り上げが大幅に低く報告されているのは事実。
Amazonだけでなく、AppleやGoogleが日本のスマートフォンのプラットフォームを制している現在ではパズドラやモンストを利用するにも有料課金は決済手数料がただでさえ30%かかる。それに加え、税制的な違いがある中で日本企業が競争に勝てるのだろうか。
まとめると、これまでは消費者が商品を買い、それにより得られた税が、日本国民に還元されていました。今後は国内に還元されず、海外に流れる仕組みがインターネット化で推進される比率が高まるでしょう。
この流れに逆行して日本から海外の進出に積極的なのはソフトバンクや楽天、最近ではメルカリなどごく一部。DeNAやGREEも頑張ってほしい。本当に海外でも市場をとっているのはM&Aとはいえソフトバンクぐらいでしょうか。
海外攻略はなかなか難しいとしてサイバーエージェントは、ほとんど海外進出していないが、今年の藤田社長の肝入りの動画決戦を制したら、そろそろ海外に出てほしい。
アフリカなどに先行して進出し始めている日本が誇るユニコーン企業のDMMに個人的には期待しています。
少し考えさせられる決算内容でした。