こんなビジネスが許されるのか。ドコモの電子雑誌読み放題「dマガジン」の8割は利用しないのにお金を払っている休眠ユーザ

NTTドコモが電子雑誌を月額400円(税抜)で読むことができるサービス「dマガジン」を開始したのは2014年6月20日。ギリギリ1年以内であった2015年6月15日には会員が200万人を突破したことを発表し、好評であることを伺わせている。サービス開始直後は79誌だったのが、現在では雑誌139誌の最新号が配信され、最大1年分のバックナンバーを閲覧することができ、約1000冊が読み放題だ。

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ドコモショップなどで携帯購入時に同時契約。解約忘れが大半か8割が未利用有料会員

東洋経済の取材記事に目を疑った。

月間アクティブユーザー(実際にサービスを利用するユーザー)は2割強。ほかのサービスより高めだが、データ通信量収入を増やすという本来の目的からすれば物足りない水準だ。

東洋経済より引用

なんと200万人を突破したという月額有料会員の内、8割の160万人は利用しておらず実際は40万人がその対価を払っているだけという。

実は携帯電話業界ではこの店頭アフィリエイトと言われる携帯購入時の同時サービス加入は休眠率が高く、サービス利用をしないものの、お金を払ってくれるというサービス運営側としては非常にありがたい客を獲得するのに最も友好な手法と言われている。

携帯電話、今はスマホがメインだが初回契約時に「同時にこのサービスを契約すると初期手数料の3,000円が無料ですよ」とか「この着メロと動画と電子書籍のサービスを3つ契約すると合計1,000円だけど、端末料金から2,000円を値引きしますよ。サービスは月額契約だけどすぐに解約して構わないから!」などと言葉巧みに店頭で勧誘しサービスに加入させるのが常套手段だ。

倫理的に問われる携帯電話サービス契約時のサービス同時加入モデル。店頭アフィリエイト

月額課金・自動更新の手法についてはAPPLE・Googleを始めとして世界中の携帯電話関連会社で使われているので、ドコモなど日本の携帯キャリアだけが悪いというわけではないが、店頭契約サービスのこの未利用率はさすがに倫理的にどうなのだろう。

ドコモが店頭で入会促進しているサービスで「dビデオ」が約3年で437万契約、約2年半で「dヒッツ」が254万契約、「dアニメストア」が152万契約。(2015年2月時点)
dマガジンがこれらのサービスに匹敵するニーズであるのは間違いないが、結局はサービス云々というよりも店頭でいかに加入者を獲得するかという手法が重要でコンテンツはその言い訳(加入者がスムーズに入会するための)となっているにすぎない。

解約の仕方がわからない、または気づいていないリテラシーの低い人が損をし続ける。そういう世の中に携帯電話会社を管轄する総務省は見て見ぬフリをして誘導していくのだろうか。

このdマガジンはドコモユーザが9割以上を占めており、ソフトバンクやauのユーザはこの倫理的に問われるサービス入会モデルを逃れているのだろうか。

実はこのdマガジンの好調を見て、ソフトバンクが2015年6月24日より「ブック放題」という雑誌と一部コミック(マイナーな作品がほとんど)を読み放題のサービスを開始した。月額料金はコミック(マイナーだけど)があるからいいと思ったのかドコモより100円高い500円。

またauはかなり前からだがブックパスという書籍・雑誌・コミックが読み放題のサービスを行っている。

結局、どのキャリアも休眠率には目をつむり、逆に休眠率の高さを利益率の高さと捉えて積極的に推進しているように見える。

ルールを指定する側がこの状況を直視しない限り、市場経済・自由経済というのはやはり弱者が割を食う社会となるだろう。

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