NOTTVが累積損失1,000億円。当期純損失も503億円でドコモは大ピンチ。原因は?停止はあるのか?

NTTドコモが多くを出資するmmbi(NOTTVを運営)が2015年3月期の決算を開示。なんと当期純損失が503億円となった。

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株式会社mmbiの過去3年の決算公告

2015年3月期

売上156億円
営業損失27.81億
経常損失316.00億
当期純損失502.78億円
利益剰余金-996.22億円

2014年3月期

売上60億円
営業損失166.72億
経常損失168.53億
当期純損失168.08億円
利益剰余金-493.44億円

2013年3月期

売上11億円
営業損失216.41億
経常損失216.31億
当期純損失215.89億円
利益剰余金-325.35億円

mmbi設立の経緯

会社設立時の2006年はライブドア騒動の後で「通信と放送の融合」が叫ばれていたタイミング。楽天がTBSを買収しようとしたそんなタイミングでフジテレビ、スカパーJSAT、伊藤忠商事、ドコモ、ニッポン放送の5社が出資し設立。

最初はフジテレビ系で40%の株を保有していたが、2009年にドコモの子会社となった。(現在ドコモは60%の株を持ち、フジテレビは6%程度)

その翌年の2010年にKDDI中心のメディアフロージャパン企画と周波数争いを電波オークションも無く、公開討論会で議論し周波帯使用の認定を受けた。

この時、民主党政権になったばかりで、政権から「周波数オークションで決めろ」という声もあったが、総務省はオークションに反対。既にドコモに帯域を割りあげる密約ができていたと言われている。

元々、国民が約1億人で利用していたVHF帯の電波を強制的に止めて、この周波数を空けたのだが時価にすれば6,000億円以上と推定されている。それを無料で得ることができたというわけだ。

その後、スカイツリーが完成し、そこから送信される電波を頼りに2012年4月1日にNOTTVのサービスを開始している。

ドコモはmmbiの減損損失を計上

2015年3月期のドコモの決算では営業利益22%減の6,390億円であることが発表された。

業績予想は営業利益7,500億円だったものの、約1,100億円の減益だ。

要因はユーザの低額プランへの移行などいくつかあるのだが、大きな原因の1つがこのmmbi。ドコモは減損損失として302億円も計上している。

同価格帯のdマガジン(定額制の電子雑誌配信)が同じ価格帯で1年もたたずに200万人以上の会員を集めていることを考えるといかにmmbiが巨額投資にも関わらずニーズの無い事業であるかわかるだろう。

事業計画では1,000万台が損益分岐点で5,000万台を目指すとしていたが、3年で175万人となっており、もはや夢のまた夢といえる。ドコモ側も携帯電話契約時のサービス同時入会の手法で会員獲得に自信があったものと想定されるが、もはや1,000万人に届かせる自信はないだろう。

mmbiの莫大な損失の原因とは

292億円の営業外費用と817億円の特別損失があり、上場していないため詳しい原因はわからない。mmbiは赤字の理由について「開示している情報以上のことは差し控えさせていただきたい」としており、コンテンツへの投資なのか、設備投資なのか他の原因かまったくわからない。

ただいえることは少し前は動画配信のサーバ費用を考慮すると放送の優位性は高かったが今はサーバ費用もクラウドサービスなどで劇的に下がり、優位性は少なくなったこと。

TVという映像視聴手段しかなかった時代は視聴端末が国民全体に行き渡る流れが自然とできた。しかし、映像を試聴する手段がTVだけでなく、PC、タブレット、スマホ、カーナビなど多様化した今、新たな動画視聴端末を進んで購入する動機が無い。

さらにはスマホはiPhoneやドコモのツートップXperia、Galaxyなどどれもグローバル仕様。ローカルな日本市場を見据えてNOTTVの受信装置を端末に装置するわけがない。

また存在意義をNOTTV独自コンテンツに見いだしており、10年前に当時のUSENの宇野社長率いるGAYOが失敗した理由を何も学んでいない。(その後、宇野氏はU NEXTで見事に復活したが)

NOTTVを運営するmmbiの今後に行く末

上場しているフジテレビ、TBS、日本テレビなども株式を保有しており、毎年損失が見込まれる同事業を救うことは困難だろう。

60%の株式を持つドコモが最大の意思決定者がだが、そうはいっても200万近い会員のいるサービスを途中で停止することができるのか、決断をする猶予はそんなに長く無いはずだ。

NOTTVのキャッチコピー「TVと呼ぶには、面白すぎる。
もはやネタとしか思えない。

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