定額ストリーミング音楽配信大手Spotifyの業績と日本未参入が何故か考えてみた

先週SpotifyのCEOであるDaniel Ekは有料ユーザがなんと3,000万人を超えたとTwitterで公表しています。Spotifyは現在59カ国でサービスを展開していますが、何故か音楽市場の大きい日本はまだ未参入。まもなく上陸すると言われて長い月日が経ちます。

Spotifyが日本参入の準備をしていると最初に報じられたのは2014年8月のこと。サービス開始までにかなり難航していることが伺えます。アプリや配信システムは元々備えているので、苦戦している原因は何でしょうか。

Daniel Ekの3,000万人超えを報告したツイート

また日本ではLINE MUSIC、Apple MUSIC、Amazon MUSIC、Google Play MUSIC、AWAなど多数の音楽定額サービスが昨年乱立していますが、参入したところでSpotifyに勝ち目はあるのでしょうか。

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Spotifyの成り立ち

Spotifyは元々2006年にスウェーデンに設立され、サービスが開始されたのは2008年。まずはヨーロッパで普及し、2011年にアメリカに進出。Spotifyが先頭となりストリーミング音楽配信市場の規模を飛躍的に成長させました。

アメリカのストリーミング音楽配信市場は急激に伸び続け、2010年の音楽市場における比率は7%から2015年は34%にまで上昇し、ついにはCDや音楽ダウンロードの市場シェアも抜き、音楽市場で最も売上を上げる流通形式となりました。

アメリカのストリーミング音楽配信市場推移

アメリカのストリーミング市場規模推移

出典:RIAA(米国音楽協会)HP

アメリカの流通シェア別音楽市場規模

アメリカの音楽構成比

出典:RIAA(米国音楽協会)HP

またアメリカのデジタル音楽市場規模は年々伸び続けていますが、それを牽引しているのがストリーミング音楽市場であることも以下の数値を見れば明らかでしょう。

アメリカのデジタル音楽市場 配信形態別推移

アメリカのデジタル音楽市場規模

出典:RIAA(米国音楽協会)HP

ちなみに日本だけでなく、アメリカでも着メロ・着うた市場は減少していますね。

Spotifyの業績

そんなSpotifyの業績をフォーブスが報じています。2014年に13億ドル(約1450億円)の売上を計上したものの、2億ドル(約223億円)近い損失だったようです。

市場は成長するものの、アメリカでもAppleやAmazon、Google等と市場を奪いあう構図。

プラットフォーマーである他社は顧客が獲得できれば音楽事業自体は極論赤字でもよく、Spotifyは競争論理として圧倒的に不利だ。先行者メリットでしばらくは売上が伸び続けるかもしれないが、頻繁に実施している資金調達がどこまで持つだろうか。

日本に参入したところでSpotifyは勝てるのか?

個人的には日本での本命はiTunes・iPhoneの圧倒的な優位性があるApple。それに対抗できるのはプラットフォーマーのLINEくらいだろう。

Amazonもプライム会員の多くはAmazon Musicを利用すると想定されるため、トップは取れないと思うが一定のシェアを奪うことはできる。サイバーエージェントのAWAは集客力に圧倒的なハンデがあるもののUIの評判もよくどこまで食らいつけるか。

そんな中、Spotifyが勝てる要素がまったく見受けられない。海外のようにFacebookとの連携などでバズで集客を伸ばすという手法があるが、日本では若い世代(特に10代)のFacebook利用率は極端に低く、90%以上の利用率を誇るアメリカとは大きく構図も違う。

この若い世代が使っているSNSはダントツでLINEです。

おそらくSpotifyの正式サービスが開始されない理由はこういったマーケティング要因に加え、音楽会社との交渉でラインナップが少なかったり、多額の最低保証金(ミニマムギャランティ)を要求されているのでしょう。年間200億円の赤字に加え、昨年にはゴールドマン・サックスと協力して新たに5億ドルを調達(累計では10億ドル以上調達)したものの、IPOがどんどん延期になっています。

投資フェーズからそろそろ回収フェーズに入ることができるという絵が描けないと上場時の評価も厳しくなる。このタイミングで大きな損失を出すのは避けたいところだろう。

もしかしたらこのまま日本には参入しないということはないだろうか・・・